おかしいことをおかしいと言える強さ。痛快で笑えてちょっと泣ける映画|きっと、うまくいく|評価|感想

2015年5月30日土曜日

娯楽作の中で描かれる社会問題

男三人そろえば、お馬鹿なことをやる

内在するテーマは暗いものだけれど、コメディとエンターテイメントでライトに描いている映画。インドは日本よりずっと学歴至上社会で、貧富の差が激しい生きにくい国。社会と親の期待の二つの重圧を受け生きる若者たちの姿が描かれていた。お国柄は関係なく若者の自分探しは普遍的なもので、共感できる部分は多々あった。

憤りを暴力で出さない頭を使った痛快劇

三人のうちのリーダー格の青年が頭の回転がよく、教師を言い負かす。真正面からぶつかるのではなく、知恵と機転で壁を壊すのではなく迂回する。大事な友達のためならば、畏れも抱かずすぐに行動できる。とても魅力的な人物だ。彼の影響を受け、周りの人間たちは変わっていく。彼は不変で、ただまっすぐ正直に自分の道を歩み続ける。思うままに生き、意志を貫いて生きるのは難しいことを、平凡な友人二人で描かれていた。彼は「きっと、うまくいく」と困難に直面したとき自らに言い聞かせ乗り越えてきた。

何も親や教師が正しいわけではない

常識・正道・規則、それは誰かや社会・時代が作ったものなのに、大人たちはそこに唯一無二の価値を見いだしている。人間は指針を持ち、何かと比べることで己の位置や役割を知って安心する。本質にある最初の情動は期待感を持たせるけれど、安心感をもたらしてくれない。だから、枠組みに甘んじてしまう。リーダーの青年はそんな大人たちの価値基準をおかしいと唱える。

おかしいんだけれど、おかしいと言えない

みんな最初はわかってる。おかしいなって、心は振れていたはずなのに、いつのまにか振れを抑えて、いつのまにか、おかしいと思わなくなって、おかしいと思っている人間をおかしいと指弾するようになる。思春期にうずまいていた感情が呼び起こされる映画だった。誰もが共感できる映画だ。高校受験・大学受験・就職活動を控えている過渡期の人たちにはぜひ観て欲しい。「きっと、楽になる」

☆☆☆☆★

Share on :

0 件のコメント:

コメントを投稿